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第33章：useState と「型推論」

この章では、TypeScript が useState の型を「いい感じに決めてくれる仕組み」＝型推論にフォーカスします ✨

1️⃣ この章のゴール 🎯​

この章が終わるころには…

  • useState(0) と書くだけで、なぜ count が number 型になるのか説明できる
  • useState('') や useState(false) など、シンプルな初期値は型推論に任せてOKなパターンがわかる
  • 「このパターンは型推論に任せていい」「ここはちゃんと型を書くべき」の直感が少し育つ

2️⃣ さくっと復習：useState って何だっけ？ 💡​

useState は、「値」と「その値を変える関数」をセットでくれるフックでしたね。(React)

例えばカウンターなら：

import { useState } from 'react';

function Counter() {
  const [count, setCount] = useState(0);

  const handleClick = () => {
    setCount(count + 1);
  };

  return (
    <button onClick={handleClick}>
      いまのカウント: {count}
    </button>
  );
}

export default Counter;

ここで大事なのはこの1行 👇

const [count, setCount] = useState(0);

実はこれ、TypeScript 的にはだいたいこう解釈されています（ざっくりイメージ）：

  • count の型 → number
  • setCount の型 → (next: number) => void

…え、そんなことどこにも書いてないのに！？というところで登場するのが 型推論 です 🧚‍♀️

3️⃣ 型推論ってなに？🧠✨​

まずはシンプルな TypeScript の例から：

let age = 20;
let message = 'こんにちは';
let isStudent = true;

このとき、TypeScript は自動で：

  • age → number
  • message → string
  • isStudent → boolean

と**勝手に型を決めてくれます。これが「型推論」**です。(typescriptlang.org)

だから、わざわざ

let age: number = 20;

と書かなくても OK な場面が多いんでしたね 👍

4️⃣ useState × 型推論：初期値から全部決まる 💫​

useState も同じノリで、渡した「最初の値」をヒントに型を推論します。(Medium)

4-1. 数値の例：useState(0)​

const [count, setCount] = useState(0);
  • 初期値が 0（number）なので → count は number 型 → setCount は「number を受け取る関数」になります

VS Code で count にマウスを乗せると、たぶんこんな感じの型が見えるはずです（イメージ）：

const count: number;
const setCount: React.Dispatch<React.SetStateAction<number>>;

TypeScript 的には、useState は ジェネリック関数 で、実際には

useState<number>(0);

という感じに解釈されていると思っておくとイメージしやすいです 🧩(DEV Community)

4-2. 文字列・真偽値の場合 🎀​

同じように、文字列や真偽値も OK です。

文字列 (string)​

const [name, setName] = useState(''); // ← 空文字だけど型は string
  • 初期値が ''（string）なので → name は string → setName は (value: string) => void という感じの型になります

真偽値 (boolean)​

const [isOpen, setIsOpen] = useState(false);
  • 初期値が false（boolean）なので → isOpen は boolean → setIsOpen は (value: boolean) => void

こんな プリミティブな値（number / string / boolean） のときは、 型をわざわざ書かずに、型推論に全部お任せでOK というのが、TypeScript コミュニティでもよく出てくるおすすめパターンです。(Reddit)

4-3. 型推論の流れを図で見てみる 📊​

Mermaid でイメージ図を書いてみます 🎨

c 「最初の 1 回だけ手がかり（初期値）を渡すと、あとは TypeScript が全部広げてくれる」 というイメージで OK です 🌟

5️⃣ 型推論に任せていいケース / 危ないケース ⚠️​

✅ 型推論に任せていいケース​

  • 初期値がシンプルな number / string / boolean のとき

    • useState(0)
    • useState('')
    • useState(false)

  • 初期値がちゃんと中身のあるオブジェクトのとき

const [user, setUser] = useState({
  name: 'Alice',
  age: 20,
});

この場合、TypeScript は

{ name: string; age: number }

というオブジェクト型を自動で推論してくれます 🎉

⚠️ 注意が必要なケース（チラ見せだけ）​

詳しくは 次の第34章 でやりますが、「型推論に丸投げすると危険」なパターンもあります。(Total TypeScript)

  • useState() ← 初期値を渡さない

    • TypeScript は「undefined なんだね」と解釈してしまう

  • useState([]) ← 中身がない配列

    • 型が never[] になってしまって、あとから要素を追加しにくい

こういう 「中身が空っぽ」な初期値 のときは、 ちゃんと明示的に型を書く方が安全です（それが次の章のテーマです ✨）。

この章では、まず：

「シンプルな初期値があるときは、型推論させると楽で安全」

という感覚だけつかんでおけば OK です 💪

6️⃣ 手を動かそう①：カウンターで型推論を感じる 🧮​

App.tsx をこんな感じにしてみてください 👇

import { useState } from 'react';

function App() {
  const [count, setCount] = useState(0);

  const handleIncrement = () => {
    // VS Code で prev にカーソルを合わせてみてね！
    setCount((prev) => prev + 1);
  };

  return (
    <div style={{ padding: '16px' }}>
      <h1>カウンター 🎯</h1>
      <p>いまのカウント: {count}</p>
      <button onClick={handleIncrement}>+1 する</button>
    </div>
  );
}

export default App;

ポイント 💡

  • useState(0) → count は number
  • アップデート関数 setCount((prev) => prev + 1) の prev も 自動で number と推論されます（初期値から推論された state の型を元に）。(codeparrot.ai)

VS Code で prev にマウスを乗せてみると、number と出てるはずです 👀

7️⃣ 手を動かそう②：ニックネーム入力 ✏️😺​

次は文字列で型推論してみましょう。

import { useState } from 'react';

function NicknameForm() {
  const [nickname, setNickname] = useState('');

  const handleChange = (event: React.ChangeEvent<HTMLInputElement>) => {
    setNickname(event.target.value);
  };

  return (
    <div style={{ padding: '16px' }}>
      <h2>ニックネームフォーム 💌</h2>
      <input
        type="text"
        value={nickname}
        onChange={handleChange}
        placeholder="ニックネームを入力してね"
      />
      <p>こんにちは、{nickname || '？？？'} さん 👋</p>
    </div>
  );
}

export default NicknameForm;

ここでも、型は勝手に決まっています：

  • nickname → string
  • setNickname → (value: string) => void
  • setNickname の引数に 123 とか渡そうとすると、ちゃんとエラーになってくれます（TypeScript えらい 🥹）。(JavaScript Ramblings)

8️⃣ ちょっとだけ深掘り：setState のコールバックも推論される 📈​

さっきのカウンターのように、setState に 関数 を渡すパターンがありました：

setCount((prev) => prev + 1);

このとき TypeScript は、

  • prev の型 = count と同じ型

として扱ってくれます。 count が number なら、prev も number と推論されます。(codeparrot.ai)

なので、もし prev.toUpperCase() みたいなことを書いたら、

  • 「number にそんなメソッドないよ！」

とちゃんと怒ってくれます 😂

「state の型が決まると、そこから連鎖的に他の部分の型も決まっていく」 これが型推論の気持ちいいところです ✨

9️⃣ まとめ：この章で覚えておきたいこと 📝🌈​

  • useState は、渡した 初期値から state の型を推論してくれる

    • useState(0) → number
    • useState('') → string
    • useState(false) → boolean

  • プリミティブな初期値があるときは、型を書かずに型推論に任せてOK

  • setState((prev) => ...) の prev も、state の型から自動で決まる

  • 逆に、初期値が null / undefined / 空配列 / 空オブジェクト などのときは → 型推論だけだと危険なことがあるので、 → 次の第34章で「明示的な型指定」を学ぶ ✨

次の章では、

「useState<string | null>(null) みたいに、ちゃんと自分で型を指定したいとき」

の書き方をじっくりやっていきます 💻📚 ここまでで、まずは「型推論に任せてラクするとこ」と「任せちゃダメそうな匂い」が少しわかれば大成功です〜 🙌💞